泥濘

何だって彼はべたべたに甘やかしてくれてしまうから、私は、

「タイガー、何故あなたは私を、大切にしているのですか」

私がそう彼に問うと彼はうぅんと頬をかいた後、

「俺が大切にしたいからだ、ってだけじゃ駄目?」

「…………」

彼は優しすぎる、そして私には、眩しすぎる。

「私は、あなたの優しさを、手放したくない」

「……泣くなよ」

タイガーが私の頬に触れた。そのままごしごしと涙をぬぐう。

「俺もあんたを手放したくない」

「あ、ありがとう、ございます」

彼は黙って私を抱きしめ、背中をぽんぽんと叩いた。

泥濘



[目次]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -