ふしぎのくに

「おや?」

ギアステーション内を見回っていた私の目の前を何か茶色い影が通過していきました。

多分……ミミロルだとは思うのですがイッシュでは野生で出てこないので十中八九どなたかのポケモンでしょう。

ミミロルの進行方向に彼(あるいは彼女)のトレーナーがいればいいのですが、念のため私は追いかける事にしました。

「お待ちくださいまし!」

ミミロルを追いかけていった方向には使われていないホームがあるのですが、何やらがやがやという声が聞こえてきました。

「?」

一番近くにいた男性客は紫煙をくゆらせておりました。いくらつかわれていないホームとはいえ、

「お客様、駅構内は禁煙でございます」

私がそう注意すると彼はにやりと笑いました。

「相変わらずカタイな小僧。白いガキは元気か?」

その声色は、私たちをそう呼ぶのは、彼しかいません。

「先代、どうしてここに」

あぁ、クダリは元気です、と私が付け足すと彼はそんならいい、とだけ答え私の問いをはぐらかしました。

「あ、」

そういえばミミロルを見失ってしまいました。先代に失礼しますと別れを告げると私は更に奥へと進んでいきました。

すると今度はベンチにインゴとエメットが腰掛けていました。

「ミミロルを見ませんでしたか?」

「ミミロルならさっきここを通過していったヨ?」

「捕まえておけばよかったですネ、ミスターノボリ。」

「いえ、大丈夫です問題ありません。」

「そういえばノボリ、喉渇かなイ?

エメットが独特の口調で茶を差し出してきました。

「ありがとうございます」

ありがたく受け取って、私は茶を飲み干しました。

そして、

「クダリ?

気がついたらクダリが心配そうに私を見つめていました。

どうやら医務室のベッドのようでした。

「ミミロルを、見ませんでしたか?」

何のこと?とクダリは首をかしげました

「ノボリ、使われてないホームの入り口に落ちてたんだよ?」

ふしぎのくに



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