口紅
「それで、この前の連続殺人犯逮捕の事件について聞きたいのですが……」
「似合いません」
「は?」
「似合いません、その口紅」
つい、と私の唇を指差す。というかインタビューに答えろ仕事が終わらない。
「そうですか?」
買ったばかりだぞこの口紅
「ワイルドタイガー氏は似合うと言ってくれましたが」
私がそう反論するとそのワイルドタイガーのバディであるこの男は不機嫌な顔になって
彼の美的センスを信じるんですかと嫌味たらしく言った。皮肉なのだが反論できない
「というわけでその色はもうつけてこないでください」
そう彼は私の唇を指でなぞった
「ぎゃっ何するんですか口紅はげる」
「はがすためにやってるんですよ」
「ねぇブルーローズ。ハンサムに狙われてるあの記者ちゃん、今日の口紅素敵じゃない?」
「あれ確か新色じゃなかった?似合ってるわよね。まぁハンサムはお気に召さないみたいだけど」
「そうね、たぶん似合いすぎるのが問題なんじゃないかしら」
口紅
[目次]