優しくしてね
「静雄さん、私は静雄さんが好きです」
そう私が言うと彼はしばらく迷って、俺もお前が好きだと答えた。
「じゃあこれで私たち晴れて両思いというわけですか」
「あぁ」
不束者ですが、よろしくお願いします、と私が彼に右手を差し出すと彼は少しだけためらった
(別に私は、彼の力であるとか、そんな事は全部知った上でこうして手を差し伸べているのに)
私に対してそんな気遣いは無用なのに、というのは私側の勝手な理屈であり彼にとってはそういうわけにもいかないだろうということは分かっているけれど、それでも私はそう思ってしまう。
私はためらいを見せた静雄さんの手をがしりとつかんだ。
驚いた顔をした彼に向かって笑ってみせる。
「やさしくしてくださいね」
「……こちらこそ」
そう静雄さんは私に向かって微笑んだ
優しくしてね
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