今直ぐ君の声を聴きたいんだけど
そもそも私の恋人は無愛想と無関心がデフォルト装備である。まことに残念ながら。
まぁ多忙な人だしある程度はしょうがないと思う。思うのだが。
「まぁ学校ですれ違えるんだけどさぁ。それでもさぁ、言葉すら交わせてないわけじゃん? それって一応恋人同士な身としてはどうなのさ」
独り言がむなしく響く。確か一週間(!)は話していない。どうしたものか。
いっそあれか、どっきりメールとして三行半突きつけてやろうか。
……いややめておこう。文字通り命が惜しい。私はまだまだ生きたい。
「……うー……ん」
だがしかしこのまま放置されっぱなしというのは気に食わない。
とりあえず電話でもかけてやろうか、とそう思った瞬間。
携帯がぶるるると震えた。
「!?」
ディスプレイに表示された名前は例の恋人である。
「もっもしもし恭弥!?」
「僕以外誰がいるのさ」
ぶすくれたこの声は間違いなく恭弥である。
「久しぶりだね。なんかあった?」
私がそう聞くと恭弥は呆れたような声で
「恋人の声を聞きたいと思うことに理由なんているのかい?」
そう言った。
「今すぐ君の声が聞きたかったんだけなんだけれど」
「……私は今すぐ会いたかったわよ」
ばか、と私が呟くと恭弥は困ったような声で、じゃあ今すぐそっち行くから、と言った。
今直ぐ君の声を聴きたいんだけど
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