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「もうそろそろ帰らねぇと」
「なぜです?まだ七時ですよ」
そう言って私が指差した時計は七時を指していた。
「いやぁ、ほら今日はハロウィンだろ?燐と雪男に菓子買ってかねぇと」
そう言って奴は苦笑いをする。面白くない。
「藤本、トリックオアトリート」
そっぽを向いて奴に手を差し出す。
「何にも持ってねぇよ」
「つまらない男ですねぇ」
「関係ねぇだろ」
「そんなどうしようもない藤本にはいたずらです」
いつものように呪文を唱え奴の頭上に菓子袋を落下させる。
「お前これ……」
「みやげにでもすればどうです。それにこれで菓子を買う手間は省けたでしょう」
もう少し居たらどうです、と私は彼に笑いかける。
「何分まだ七時六分ですよ」
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