レッテル
俺の背中にたくさんの紙切れがまとわりついていた。
『サタンの子供なんか死ね』
『どうせサタンの子が俺らの仲間になれるわけない』
『あの時みたいにまた青い炎が暴走したらどうするんだ』
「やめろ」
『化物』
『化物』
『怖い』
『いなくなれ』
『死ね』
「やめてくれ」
この紙切れは、俺に対してのレッテルは、どうやら他の奴には見えなくて、悪魔の仕業ではないらしい。
その事に少しだけほっとしながらも、俺の背中はそのレッテルに押しつぶされそうになっていた
「兄さん!」
部屋で背中を丸めてうずくまっていると、雪男が帰ってきた。俺の背中から落ちた紙切れを踏んで。
「どうしたの、この紙切れ」
「お前、見えるのか?」
「見えるも何も……」
雪男は俺の背中にまとわり付いている文字群をちらりと見て、手元にある紙切れに何か書いて、俺の背中に貼った。
「まぁ、あまり気にしないことだね、兄さん」
「あ、あぁ」
雪男が自分の作業を始めたのを見計らって、雪男が貼った紙切れをちらりと見る。
『僕の自慢の兄』
「……なぁ雪男」
「何」
「ありがとな」
レッテル
[目次]