いろはにほへと、
いろはにほへとちりぬるを、とかすかに聞こえてくるのは一般授業棟の方角からだ。
「どうせ散ってしまうなら、愛さなければいいのだ」
散ってしまうのが悲しいなら最初からそれに愛着などを抱かなければ何の問題も無い。
「そもそも私の本質は光を愛せざるものなのですから」
彼なぞ愛すべきではなかったのです。えぇそれがそもそもの間違いでした。
「どうせ近いうちに彼は、いなくなるのですから」
だから彼との時間に酔う事すら私にはできない
「私にとって瞬き程度の時間なのですから
「なぁ藤本」
私を永遠に酔わせる事ができたら、そしたら私は、彼の事を、
「……まぁ、無意味な仮定ですがね」
あさきゆめみし、ゑひもせず。
いろはにほへと、
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