首に鎖
じゃらり、と私の手の中でなったそれは彼の首に繋がっている
私が指を鳴らせばすぐに消え去るそれは彼を拘束するのに何の意味も持たない
そもそもこの鎖がどんな拘束力を持っていても彼には恐らく何の意味も持たないのだ
彼を私の手に留め置く事なんてできない。おそらくは他の誰にも
だからこそあの双子に私はどうしようもない劣等感を抱くのだ。嗚呼
「まったくなぜこの私があんなせいぜい数年しか生きていない赤ん坊共に嫉妬しなければならないのだ」
まったく馬鹿らしい。
あぁもうそろそろ彼が起きる時間だ。
任務帰りにここでかっきり一時間睡眠をとってから彼は息子たちの元へ帰る。
その一時間、私がこうして彼を好きにできるというだけで今は勘弁してやろう。
指を鳴らし鎖を消す。
「ほら藤本、起きなさい」
首に鎖
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