一等星

仕事帰りに、空を見上げていると一等星、ですか、と隣の(図体がでかい)兎が呟いた。

「ん?あのでかいのか?」

多分そうじゃねえの、と俺が答えると虎徹さんにそんな高尚な物の区別なんて付くわけなかったとため息をつかれた。

「ほんっとお前失礼だな!」

「本当の事じゃないですか」

それにしてもこうしてあなたと星空を見上げる機会があるなんて思いませんでした。

そうバニーがぼそりと呟いた。

「あぁ、まったくだ」

「虎徹さん」

「なんだ」

「ありがとうございます」

それに、あいしてます、とバニーが呟く。

でもその言葉はあまりにも小さくて、俺は聞こえないふりをした。いつものように。

「そういえば、あの星僕に似てません」

そう言ってバニーが指差したのは、少しだけ他の星と離れたところで光っている一等星(多分)である。

「そしておじさんはその隣の小さいのです」

「オイ!お前の星は確かにあれだなと一瞬納得しちまっただろ!」

「なにも間違ってないじゃないですか」

「間違いしかねえよ!」

それよりこっちの方が俺たちぽくないか?と俺が指差したのは一等星が二つならんでいる。

「………………確かに」

「不本意そうな顔すんな」

「違いますよ。少しだけ嬉しいんです」

あぁまったく分かりにくい奴だ。だがしかしこいつの照れ隠しは、分かれば可愛らしい(もちろん楓には遠く及ばないが)

一等星



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