ばちあたり
もし彼にもう一度会えるのなら別に悪魔にもう一度憑かれてもかまわないんじゃないかというばちあたりな事を一瞬考えてしまった。
そんな事言うときっと彼は怒るだろう。
だって彼は私の一個下なのに随分しっかりしている。というか大人びている。
「また会えればいいのになぁ、雪男君。」
ついそうぽつりともらしてしまう。
「何か言ったー?」
隣の友人が問いかけてくる。
「なんでもないよ」
私がそう言うと友人はへぇと言って話を変える。
「そういや今年の一年の子でさぁ、めっちゃ頭いい子いるらしいよ。しかもイケメンという。」
「そうなんだ」
「あんた本当イケメンとか興味ないよねぇ」
呆れた顔をされても困る。
「そんでまぁ、その一年のイケメン秀才が、奥村雪男君って言うらしいんだけどー」
え、と呟いた声は聞こえなかったらしい。
友人はあ、と向こうの方の人影を指差した。
「あれあれ!あの子!」
「あ」
学生服で女の子に囲まれている彼は確かに私が再会したいと考えていたあの子である。
すると向こうがこちらに気が付いた。
彼は少し驚いた顔をして、軽く会釈、そしてそのまますれ違う。
「え、何あんた知り合い!?」
がくがくと揺さぶってくる友人はとりあえずひっぺがす。
いや、それにしても偶然とは恐ろしい。
ばちあたりばちあたり
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いつの間にか夢主年上になってました
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