撃って
雷に打たれたようだ、とはよく言うが、自分の場合それはまるで銃で撃たれた衝撃に似ていた。
……実際に撃たれたことはないので想像だけれど。しかし銃に撃たれるという事はきっとこんな感じなのだ。
撃たれた瞬間は何が起こったかわからず、しばらくしてやっと状況が把握できる、そしてそのときにはもう手遅れなのだ。
(……つまるところ、一目ぼれってやつや)
今はいつもの二人が隣にいないという油断からか、無意識にはぁとため息をつく。
いくら禁欲的な生活をしてるとはいえ、どうせ健全な男子高校生である。
可愛い子がいれば無意識に目が追う程度のことくらいはたまにある。たまに。
でも今回のこれはもっとこう、熱いなにかなのだ。たとえば恋、だとかそんなもの。
……とはいえ、彼女はすれ違っただけでしかも、制服を着ていなかったので同級生、学生、どころか部外者の可能性が高い。
(一期一会とはよく言ったもんやな……)
出会いは大切にしろと言われてもすれ違いとは果たして出会いにカウントされるのか。
そんな事をひたすらに考えているうちに(ああ今日はあれだけのために雑念だらけや!)いつの間にか塾の、自分のいつもの席に座って、いつもの奴らに囲まれていた。
坊どうしましたん今日なんかぼけっとしてますねぇと面白そうな声の志摩は無視。
そういや今日は特別授業があったなぁとふと思い出す。
確か現役祓魔師の話を、という事で今日は確か塾出身の竜騎士が来るということだったはずだ。
まぁ有意義な話が聞ければと授業開始の鐘を聞く。
かつかつとヒールの音を響かせて入ってきたのは、
「どうも、竜騎士の――」
美人さんやぁと口笛を吹いた志摩はとりあえず殴って黙らせた。
俺の目の前にいるのは、さっきすれ違った、あの、
(……次の出会いは大切に、やな)
それにしても一日二回も、銃で撃たれたような衝撃が来るとは思わなかった。
撃って-----------------------------------------
勝呂は年上好きそうだなぁと。
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