砂糖水
彼の体内の水は砂糖が溶けているのではあるまいか。
それほどに彼は甘党である。そして私に甘い。
きっと砂糖菓子か何かでできてるんじゃあるまいか。
「砂糖菓子のボクかぁ」
それ、素敵だなぁと彼はとろけるように笑った。
「……でも、雨に溶けちゃうよ」
言いだしっぺは私であるのに私がそう反論したのは、このままだと彼が本当に砂糖菓子になってしまうのではないかと、なんの根拠もなくそう思ったからだ。
「えー、ここにいれば平気だよぉ」
地下に雨は降らないと彼は愉快そうに笑う
「じゃあ、じゃあ、」
私には彼を砂糖製にしないための方便が思いつかない。
「あぁでもボク、アイアントに群がられるのは嫌だなぁ」
彼がぱっと思いついたように言う。
ギアステがアイアントだらけになったらノボリに怒られちゃうし、とも。
「だから、ボクは砂糖の塊にはならないよ。心配しないで!」
それにキミといちゃいちゃするのもこっちの方が便利!と彼は私をぎゅうと抱きしめた。
「でももしボクが砂糖のかたまりになっちゃったらさぁ」
キミがボクをすっかり食べちゃってよ。
その答えに私は肯定しか返せない。
でもその答えに満足したようで、彼は私に口付けたあとキミも充分甘いと笑った
彼からすれば砂糖製は私の方だったようだ。
二人ともきっと体液は砂糖水である。
砂糖水
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