不運

不運にも、あぁ本当に自分は運が悪い。

「偶然ですねぇ」

彼に遭遇してしまうなんて。

いや、上司(しかも相当に雲の上の)に対して充分失礼な物言いをしているのは自覚している。

だがしかしこいつにだけは会いたくなかった。

ただ面倒なのだ。そして鬱陶しい。

そんな私の胸中など知らず彼はピンクの傘をひゅんとまわし上機嫌で私に問いかける。

「任務の方はどうですか?」

「順調です」

お前に心配される筋合いはねぇよと言外に主張してみる。

「それは何よりです」

ですが気をつけてください、その綺麗な顔に傷などついたらもったいない。

「はぁ?」

大げさにそういわれたものだから怒りを通り越して呆れてしまった。

「私はあなたを気に入っているのですから」

あぁもちろん愛しているという意味で、と彼は言う。

……どうやら今日は不運な日だ。


不運


不運
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