やっぱり6月がいい
あぁこれだからこの季節、いうなれば今月、は嫌なのです!
サブウェイ内がじめじめしているのも不快ですしその上我が弟にべたべたされるのも普段ならそう感じないのですがとてもうっとおしいです。
それに利用者が減少傾向になるのもとても嘆かわしい。皆さんそんなに外で雨に少し打たれるのが嫌ですか。まったくここまで来れば濡れないというのに。
ノボリいらついてるぅと弟に言われましたがこの時期はそもそも皆がそんな感じではないでしょうか。
そして最大の憂いごとは、私の職場が地下で、朝早くから夜遅く仕事をしているゆえに、地上の天気予報に対応できないことでございます。
帰ろうと地上に出ようとした瞬間、無意識のうちにため息が漏れてしまいます。
天気予報なんて見ているわけがなく、半ば呆然と土砂降りの雨を眺めます。
恵みの雨とは言いますが、これは明らかに有害のレベルでしょう。
あぁ制服を濡らして帰りたくはないのですが、そこまで思ったとき。
「あ!ノボリさんお疲れ様です!」
彼女が雨の中、この雨の中傘を差して、もう一本傘を下げて、現れました。
彼女のさしている傘は淡い黄緑のしごく女性らしい可愛いらしいもので、腕に下げているのは無骨な蝙蝠傘。言うまでもなく私の傘でございます。
「わざわざ迎えに来てくださらなくてもよろしいのに」
私が社交辞令的にそう言うと彼女はでも嬉しかったでしょうと笑う。
「……それは否定いたしませんが。ありがとうございます。」
「どういたしまして」
彼女はそう笑って私に傘を差し出した。
彼女と一緒に帰れるなら、この月がありがたいものに変わるのです。
やっぱり6月がいいやっぱり6月がいい
---------------------------------
ノボリさん好きすぎて。
[目次]