月の名前
今日は満月だった。
私が帰るときにその満月をバックに彼が空を飛んでいるのが見えた。
(スカイハイ……いや、キース・グッドマン)
彼が私の帰る時間に、私の帰るルートをさりげなくパトロールしてる事実は私しか知らない事であり、またそれ以外に知られる必要性もない。
彼とそう言った関係、もとい同居するようになってからというもの、彼は月を背に私を見守っている。
上弦の月や三日月を背にする彼もいいものだが、やはり彼には非の打ち所の無い満月が似合う。
「私は月が太陽より好きなんですよ」
そう言ったときの彼は嬉しそうな顔をして私もですと言った。
彼にはどうしても太陽のイメージが付きまとっているので何故ですと問うたらだってあなたに似ているからとこっぱずかしい答えが返ってきたのは記憶に新しい。
そんなぬるいことを考えているうちに家に着いた。
私が扉を閉めてからきっかり十五分後に彼は帰ってくるのだ。
「ただいま!そしてお帰りなさい!」
そう満面の笑みをたたえ言う彼に、私は毎度呆れた顔をしながらお帰りなさいとただいまを返すのだ。
月の名前
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