融けきれない

空気に溶けていなくなってしまいたいと思うことがある。

彼にそう言ったら彼はいつもと同じ表情でそれはやめてくださいましと答えた。

「なんで?」

それで空気となって世界に充満してたゆたいたいと思うことのどこが悪いのだろうか。

「サブウェイの空気になるよ」

「そういう問題ではないのです」

彼は首を振る。

そして私をその灰色の瞳でまっすぐ見てこう言った。

「だってあなたが空気になったら、私がその空気を全部飲み込まなければならないではありませんか」

しばらく私はぽかんとした顔をしていたのだと思う。

「どうかなさいましたか」

彼が心配そうな声色で、それでも表情は変わらないのだが、私に問いかける。

「なんでもないよ」

ねぇノボリ、ありがとう。と私が彼に呟くと彼は当然でございますと言った。

まったくもって、これだから私はこの世界から融けることができないのだ。


融けきれない

融けきれない
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まさかのポケモンすみません。



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