はなのにおい
あいつと花なんてとても縁遠いものだと思っていた。
少なくともあいつがこっち側にいる間は。
でも、あいつはこっち側じゃないから。だってあいつは花やらそんなものが似合う側の、
「どうしたのよ」
だからそれに気が付いてくれてよかったのだ。
あいつに、いや、彼女には血のにおいより花のにおいがずっと合うのだ。
「…………何深刻な顔してるのよ似合わないわよ。」
「え、あー……」
かっこいいだろと言おうとしたが言う前にかっこよくはないわよと言われた。
とりあえず話題をそらそうとしたところでこいつの髪に前との相違点を見つけた。
「お前さ、そんなん付けてたっけ?」
「え?あぁお花?いいでしょー。ローデさんからもらったの!」
「…………よかったな」
「あら嫉妬?」
「そんなんじゃねーよ」
「私に」
「まさかの展開!」
いや別に俺あの坊ちゃん大嫌いだし?こいつの頭の中は一体どうなっている。
「…………今度花持って来てやるよ」
そんな作り物じゃなくて、いい匂いのする花を。
はなのにおいはなのにおい
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もっときゅんきゅんできる話が書きたかった。
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