君を想う
あなたを思う、それだけの行為がどれだけ苦しいものなのか、あなたはまず知らないでしょう。
あなたは私をどう思っているのでしょうね、私と同じだといいのですが。
お前の事を思うのは割と簡単なんだ。しかし想う、考えるとなるとこれが案外難しい。
頭がその事を占めすぎちまう。
まぁお前は俺の事を便利な駒程度にしか思っていないだろうけどな。
あーあ、報われねぇ。
どうせあなたへのこの感情が報われないであろう事は重々承知しているのです。
でも諦めたはずなのにこの感情が報われるとなれば死にそうな程嬉しいのでしょう。
自分が簡単に死ぬはずないとわかっているのに。
俺はお前と違って簡単に死んでしまう。だから絶対にお前を置いていく。
その事は分かっているはずなのに怖いんだ。
まぁお前は俺が死んだ所でせいせいしましたと高笑いするんだろうけどな。
俺が死ぬ前にお前に何かしてやれないかと思ってるんだぜ、柄にもなく。
あなたに何かしてやれないかと思うと精々が悪魔人間での契約を交わすくらいしかできないのかもしれません。
でもあなたはそんなこと笑い飛ばして拒否するんでしょう。
だからもし私があなたにしてやれる事はと考えた結果、人間らしく、友人にでもなる事くらいしか思いつかないのです。
お前とは友人関係になれて本当によかったと思っているんだぜ。
これ以上深みにはまったらお互いがお互いに迷惑を掛け合う。
そうなるとやっかいなのはより高い地位にいるお前の方だ。
俺はお前に迷惑をかけたくない。
私は、あなたにずっと頼って欲しかったのかもしれません。
迷惑をかけてほしかったのかもしれません。
だから私はあなたに頼みごとをされた時、不本意ながら、嬉しく思ったのです。
しかしそれは純粋にあなたの事ではなく、そんなあなたに、あぁそうだ私は惚れたのだ。
多分俺が本気で惚れたのはお前が初めてだったんだろうな。
もう俺も年だからなんで惚れたかなんて覚えちゃいねぇけど。
でも、わりぃな、抑えられないんだ。お前に迷惑かけまくるけど。
「なぁ、メフィスト、俺はお前が好きなんだぜ。」
ああ、なんで、今、そんな事を。
「早く言ってくださいよ、馬鹿」
君を想う君を想う
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いい年したおっさんの思春期である
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