浅はかな

「人間風情が悪魔に愛を囁くなんて!」

ふざけるのもいい加減にしろよ、藤本、とメフィストは平坦な口調で告げる。

「ふざけてなんかねぇよ」

藤本はいつもの調子で返す。

「あなたお得意の慈善事業ですか。浅はかな。私は悪魔であって愛すべき隣人ではないんです」

そう苦笑して仕事に戻ろうとするメフィストの腕をがしりと藤本が掴む

「メフィスト、お前は勘違いをしている」

「は?」

「俺は神父だが好き嫌いは結構激しいんでね」

本気で好きになったのはお前がはじめてなんだ、と。

「馬鹿ですかあなた」

言ってることが破綻しすぎですよ、とメフィスト。

「いつもの事だろ」

それにその破綻したセリフに泣かされてる奴が言うことじゃねぇな。

「うるさいですよ」

浅はかに、恋に落ちたのは自分だった

浅はかな

浅はかな
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