全力疾走

上京する前日の夜、俺はひたすら走っていた。

「坊ー坊ー速いですー」

「何でついてきてんねや!」

一人にさせろや!と怒鳴るとだって面白そうですやん、と返ってきた

「それに東京行ったらずっと一緒ですよぉ?そう言われましたし」

「まだえぇわ!一人にさせろや!」

「だって面白そうですやん」

大体こいつの事だからその答えが返ってくることは予想していたが。

「だって人の色恋沙汰ほど面白いもんはないですやん?」

「転んでしまえ!」

結局志摩を振り切れずに目的地に着いてしまった。

「じゃあ俺はそこの影から見てますんでー」

そう手を振って隠れる志摩。帰れ。

とりあえずあいつを探す。

すると

「あ、志摩ー」

「見つかってもうたかー」

「志摩ぁぁぁ!」

「どうしたん、勝呂」

あぁこいつにかける言葉をずっと考えていたのに、志摩のせいで全部飛んだ

「あ、お、俺東京行くねん」

「知ってる」

「だから、携帯のメルアド教えよと思って」

唐突に何言ってるんや俺。志摩が爆笑している。後でシバく。

「じゃあ交換やなー」

でもこいつの笑顔は好きや。

一応目的の一つであったメルアド交換は果たした。

一番最初に来たメールは、

『告白は最低でも電話がいいです』

まったく、全部ばれてるわ。

とりあえずもう全力疾走してもあいつの元へは行けへんから、

電話する前に今度こそちゃんとセリフを考えておいたほうがいいのかもしれない


全力疾走

全力疾走
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誰がなんと言おうと青春ですね



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