花に風

「ねぇ、燐……」

「あ、あぁ……」

今、燐としえみの目の前には、一面に花畑が広がっていた。

前に、しえみが話していた、アマハラの庭。

「本当にあったんだ……」

「よかったじゃねえか!」

「う、うん」

しえみは頷いた。しかし、その顔を少し曇らせる。

「どうしたんだ?」

「いや、あのね、その……」

しえみは少しためらって、でも笑って、おばあちゃんにも見せてあげたかったな、と言った。

「見てるだろ」

「え」

「お前のばあちゃん、お前のこと大事に思ってたんだろ?」

ならきっと今もお前のこと見守ってくれてるって!

そう燐は二カッと笑う。それに釣られてしえみも笑った。

「ありがとう、燐」

「おう!」

「ねぇ燐、私、天空の庭、燐と見れてよかったよ」

「そ、そうか?」

天空の庭の花を、柔らかな風が揺らしていた。


花に風

花に風
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アマしえでもよかったんじゃないかという疑問がよぎりましたが、
このお題で真っ先に思い浮かんだのがアマハラの庭にたどり着いた燐しえだったので。




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