巌雲の月
「今日は月あんま見えねぇなー」
「ですねぇ」
せっかく月見酒と洒落込もうと思ったのによ、少しは飲酒控えたらどうです、うるせぇ、といういつものやりとり。
「せっかくチビ共寝かせて来たのによぉ」
「可哀相に」
「いいじゃねぇか別に。息抜きだ息抜き」
「あなたいつも息抜きしてるじゃないですか」
「細かいこと気にすると禿げるぞ」
「はげっ……!?」
つーかほんとに月見えねーなーと盃を片手に空を見る獅郎
「お前雲動かせたりしねえの?」
「はぁ?そんなアホらしい事やったことありませんからねぇ」
やれない事はないのだろうが。
「…………」
アインス、ツヴァイ、ドライ、と小さく呟く。
「うぉぉすげぇ!」
「このくらい簡単ですよ」
そもそも私は、貴方の為なら雲でも月でも動かしてみせるというのに
「綺麗な月だなー」
月に巌雲月に巌雲
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