沈んでいく
「…………?」
気が付くと深海に沈んでいた。
つい五分前まで理事長室で仕事をしていたのに。
「……寝入った覚えはないのだが」
一体どうなっているんだ。
現実の雨の音がかすかに聞こえる。明晰夢というやつか。
「あぁアマイモン、お前か」
さっきふと視界をよぎった我が弟。
頭を冷やしてください兄上という声が聞こえてきそうだ。
「私はいつもどおり冷静ですよ、ねぇ獅郎。」
そういうとあぁ、やっぱりと弟の呆れた台詞とため息が聞こえた。
「兄上、ボクが兄上をここに閉じ込めた意味わかってませんね」
「ああそうだ分からない。早くここから出せ、時間の無駄だ。私は仕事を終わらせて獅郎をもてなさねばいけないんだ」
今日は彼が来る日のはずだ。
「なおさら出す訳にはいきませんね。」
ねぇ兄上、と弟は言う。
「彼は、藤本獅郎はもう死んだんです。いい加減認めて、それで、」
ボクを見てください、と呟く。
「残念ながら、何も聞こえんな」
そうして私は目を閉じて沈んでいった。
沈んでいく沈んでいく
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久しぶりに藤メフィ
獅郎が亡くなってちょっとずつ狂ってくメフィ
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