Story
その手、危険につき


俺に関わるなと彼は言いました。
しかし自分にはそれがどうしても俺に関わってくれと聞こえたのです。

俺に触るなと彼は言いました。触って欲しくないではなく。
俺は好きなものも守りたいと思ったものもこの手でいつも壊してしまうんだと

つまり自分は彼の壊したくないもののカテゴリに入っている訳であり。

俺は化け物だからと彼は言いました。
しかし自分には彼がどうしても化け物には見えないのです。

自分には、彼が、寂しがり屋の大きい子供に見えるのです。

そして彼の手がどうしようもなく優しい手に思えるのです。

そんな自分をあの黒い情報屋は愚かだと嘲笑うでしょう。

しかし彼を化け物だと思ってしまうならば自分は愚かで構わないと思うのです。

彼の、その優しげな手に触れたいとも思うのです。壊されてもいいからと。

そっと手を伸ばして、彼のその手に。指先でそうっと触るときっと逃げてしまうけれど。

そうしてぎゅうっと握った手は、自分が予想したとおりにあたたかく、優しい人の手だったのでした。


その手、危険につき
(守りたくて、壊して、壊して、壊して、何を守りたかったのかも忘れて、

 
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タイトル:言い訳は割愛しました 様から。ありがとうございます
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