Story
頭のどこかで、幼い頃の自分が泣いている声が聞こえた。
実際に聞こえるはずの音はいつのまにか遠い
自分で自分を止める術を持たない、ある意味では無力な子供
もっとも、今もあまり変わってはいないが。
(そうだ、俺は何も成長しちゃいない)
相変わらず頭に血が上れば見境なくものを壊す。
あぁ、ただの大きな子供じゃねぇか。
俺は、そんな俺は、いなくなったほうがいいんじゃねぇか、
「大丈夫」
ふとそんな声が聞こえた。
それと後ろからぎゅうと抱きしめられる感覚。
その声と感触をきっかけとして、徐々に周りの音や景色が戻ってきた。
大丈夫、と繰り返される。
目の前にはチンピラ共が折り重なって倒れていた。
ゆっくりと息を吸い、握り締めていた標識を離す。
がこんと重い音がして、彼女がよくできましたと言った。
彼女のその言葉に俺は毎回こうやって救われる。
小さい頃の俺の泣き声は、いつの間にか止んでいた。
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テーマ:楽観主義
企画サイト「
人間論」様に提出!
期限ぎりぎり(なはず)になってしまい本当に申し訳ありません。あとこれ主義じゃねぇ。
悩みぬいた結果変な方向に曲がりましたしかし私は夢主に救われる静雄が好きです。
書いててすごく楽しませていただきました素敵企画ありがとうございました!