Story
彼と私は家も近くて、いわゆる幼馴染的関係である。
彼の傍にずっと居たものだから、彼がどんどん化け物じみて行く過程だとか、数え切れないほどのものを壊していくところだとかそんなものは腐るほど見てきた。
彼が恐れられているところも数え切れないくらい、見ていたのだ。
「最近折原臨也っつー馬鹿がよぉ」
「また折原の話?彼女できたんだったらそっちの方にも気ぃ使ってあげないと」
それに彼がこうして恋をしている所だって私が一番よく見ている。
(彼と一緒に帰る特権は恋人じゃなくて私のものなのだ)
「ていうか静雄、彼女と一緒に帰らなくていいの?」
私がそう訊くと彼は頬をぽりぽり掻きながらあいつんち
真逆なんだよと答える。
「それにお前と帰ってると楽しいしなぁ」
……というかお前俺に彼女できた事どっから知った?門田から。あいつか!
そんな下らない会話をしている私達はきっとよそ様にとって恋人同士に見えているに違いない。
彼が恋人と別れたのはその三ヵ月後である。ソースは前回同様門田で、理由は静雄が実際に爆発して人を投げ飛ばすあの無双シーンを彼女が初目撃した際、あまりにも刺激が
強すぎたことらしい。
(そもそもよく三ヶ月も隠し通せたな)
静雄は泣いてこそいなかったけれどまぁやっぱり落ち込んでいた。
私が来たのを察知した静雄は私にぽつりと問いかける
「なぁ、お前はずっと俺の友達で居てくれるか?」
その、彼の切実な問いに私はもちろん、と返した。
「私はずっと静雄の友達でいてあげるよ」
静雄に恋人ができようと振られようと結婚しようと、私はずっと静雄の傍にいてあげられる。
過ちの友情はいかがですか----------------------------------------
企画サイト「
小夜曲」さまに提出。
素敵企画ありがとうございました!
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静雄にとって裏切られたら手痛いポジションにいるのが分かっている夢主の話。
暗くてすみません……