Story
「うわ、細。ちゃんと食ってる?」
「食ってる。気色悪いこと言うなお前さっさと採寸すませろ。」
侑士に敬語を要求したら「お前新入り、俺黒幕。年齢差と相殺で。」とかぬかしやがった。
とりあえず適当に雑談しながら一通り採寸を終えるとすぐ店長に引き渡され給料だとかシフトだとかの説明を受けたり決めたりする。
「まぁ、うちはお客様からの指名が増えれば、新入りでも給料いいからな」
「指名?」
「ほれ、執事喫茶だから。給仕とかする奴を選べるんだようち。」
「へぇ」
その説明の間に店長が三回くらい化野に呼ばれて接客に行った。前述の給仕。
見せてもらったんだが、その、チンピラ制圧したあの時とは別人レベルの雰囲気で。
さすが店長。
…………目標が見える職場って理想的なんだな。
そうこうしているうちにすぐ閉店になる。忙しい時間はすぐ過ぎた。
すると店長が店員皆を集め俺に会わせた。当然のように侑士も居る。お前店員じゃねぇ
だろ。
「店での名前だけでいいぞー」
どうやら本名をうっかり店で使ったら面倒だから、らしい。
慣れてきたら本名も教える、だそうだ。
「んじゃまぁ、清水さんから。」
なんだかんだで三度目ましてくらいの顔がにやりと笑う。
「清水。厨房係、兼隠れキャラみたいな感じだ。清水さんとでも呼んでくれ」
よろしくな、と笑う清水。
「よろしくお願いします」
俺がそういうと、清水はおう!と俺の頭を撫でた。