Story
「もう近くだよ」
「訂正。君んちの前まで」
どこまで着いてく気なんだこいつ
結局俺んちの前まで着いてきた。
「着いたぞ」
そう言うとそいつは俺の隣からするりと居なくなり
「あーそうそうここだーありがとうね東原君」
そうにこりと笑い、隣のでかい家に、って
「隣かよ!」
「向こう三軒両隣は把握しておこうよ。このご近所づきあいが希薄な時代にこそ。」
「いやだっていつもカーテンしまってるし無人だと思ってたんだが」
「カーテンあるって事は人居る確率高いでしょう。それに玄関とか地味に掃除したりとかしてるんだけど」
「通りで中途半端に人の気配がするわけだよ……むしろ怖ぇよ」
「あ、そう?」
「それよりお前あの家に一人で住んでんのか?」
「そうだよ。」
こいつは謎だらけだ。ほんっとに謎だらけだ。
こいつの家が学校でひそかに幽霊屋敷的扱いを受けている事を絶対本人は知らない。
いい年して幽霊屋敷とか言ってる奴らもどうかと思うがそもそもそういう扱いされるような事するなよ。
「じゃあねー東原くん」
「……じゃあな」