23:41 相/棒/伊.丹夢


メールの受信履歴を見て、伊丹は顔をつい引きつらせた。
仕事関係のメールに混じっているそれは、短い中にもやたらにかわいらしい絵文字やらがひしめいており、それらは伊丹の眉間のしわを深くさせた。
「仕事のメールですか?」
ふいに真横で聞こえた声に、伊丹は反射的に携帯を取り落としそうになった。
体勢を持ち直し、声の主をにらむ。
どんどん杉下右京に似ている(と、伊丹は思っている)
その男はそ知らぬ顔で伊丹を見つめている。
甲斐の視線から顔を背けて、伊丹は携帯を閉じる。するとカイト君、と右京の呼び声が聞こえた。
「はぁい」
いまどきそんな素直な返事、小学生だってしないだろう。そんな元気な返事をして会は右京の方へ戻りかけ、振り向く。
「あ、そういえば俺の知り合いがそういうの詳しいんで、いろいろと聞いときましょうか?」
余計なお世話だ。と伊丹は吠えた。ぼかしたつもりだろうがまったくぼかせていない。
”知り合い”だなんて。甲斐に同棲している恋人がいることはおおよそ周知の事実である。
伊丹はもう一度、甲斐に覗き込まれたそのメールを開いた。
『最近は手荒れがひどいです。ハンドクリームなどいろいろためしているんですがいいのが見つからなくて。寒さもそういえばつらいです。伊丹さんも風邪などひかないよう気をつけてくださいね』
ハンドクリームなど伊丹にはどれも同じに見えたし、自分にこうしてこまめに連絡を寄越す理由だってわからなかった。


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