20:38 基本的に夢小説詰め


▽転地がひっくり返っても/若雁夜
「…………うわぁ」
つい、噴出してしまう程に、自分にその色は似合わなかった。まだ馴染んでないからというのもあるかもしれないけれど(何分髪を染めるのは初めてなのでそのあたりの加減は分からない)それを差し引いたとしても自分にこの色は似合わない、そうはっきりと雁夜は自覚した。
(明日葵さんに会うんだぞどうすんだこれ、)
しばらく考えて、染め直すという結論に至った。黒の髪染めを買いに行こうと玄関に向かったところで一度使ったきりの灰皿を蹴飛ばしてしまい。足を押さえて蹲る。
「…………部屋が、狭いのが悪いんだ」
そう言い訳して、雁夜はフードを被り、靴を履いてドアを開けた。
(今後俺が望んで銀髪だとか白髪になるなんて、そんなの俺があの家に戻るのと同じくらいあり得ないことだ。)



▽イン・ナイトアクアリウム/インゴ夢 by花畑心中さま
ちゃぽん、と水音が遠くで聞こえた気がした。一枚の書類にサインをして、インゴはふと顔を上げた。
「ここから海辺は遠いものですが」
「そうね、でもイッシュの海はあまり好きじゃないのよ。リゾート地じゃない。所詮」
水槽の中にいる、ポケモンではない動物、もといサカナを見ながら彼女は言った。
「そんなものを見て、何が面白いのです」
「面白いわよう、少なくとも貴方達が大好きなバトルより、私はこちらの方が面白いわね」
不愉快そうに眉を潜めるインゴ。彼女曰くあなたがそれを楽しんでいるならいいんじゃない?
「今度、海に行きましょうか。遠い地方の」
泳げるのならどこだっていいわ。そう彼女はおざなりに答えた。


▽あなたはわらうだけでぼくをころせるね/黄瀬夢(黒子のバスケ) byジャベリンさま
だからね君の笑顔は凶器だと俺は思っているのだよ、なんて。中学時代の旧友の口調を真似て呟いた。
「何か言ったー?」
何にもー? いや別に素直に言ってもいいんだけど。さすがにモデルやってるとはいえこちとら健全な男子高校生なのだ。中々に照れくさいものがある。
「さっきからどうしたの?」
彼女が呆れたようにふふ、と笑った。しまった全部顔に出ていたのか。
(あぁもう、ほら!)
その笑顔に惚れたッス!なんて言ったらきっと、何だ顔だけ?なんて言われてしまうかもしれないから、言わない。


▽知らない人を好きだった/ギンコ夢(蟲師)by alkalism
私の初恋、ですか。そうですね、恥ずかしながら名前も知らないんですけれど。
白い髪に、綺麗な緑の目をしていました。煙草をいつも咥えていて、どこか掴みどころのない方でした。
彼は、私の中に巣食っている、蟲、というものを退治しに来たのです。
もう、どういう蟲だったのかはぼんやりとしか覚えていないのですけれど一つだけお話できることがあります。彼が別れ際私の頭を撫でてくれた事。それだけのことなのにとても満たされた気持ちになったんです。子供って、単純なものですよね。そう我ながら思います。(ある民俗学者の手記より抜粋)


▽知っててやってんの/クラウド夢(pkmnモブトレ)by家出
「クラウドさんクラウドさん今日も格好いいですね!」
「公共の場でそんな発言すんなアホウ」
「ごめんなさーい」
悪びれた様子もなく笑う少女。セーラーのスカートがひらひらと揺れる。
「…………今日は早上がりの日やからな、大人しく待っておき」
はーい、といい返事をして、少女は丁度ホームに滑り込んで来た電車に乗り込んだ。



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