14:56 サブマスSSみっつ



悲劇は小さな忘却から始まる/ノボリ
「おや、」
にこにこと笑顔で、私のシャンデラが入ったボールを届けてくださった小さなお客様。
「ありがとうございます」
私がそう礼を言うと、一層素敵な笑顔になり、たたたと走り去って行きました。
まったく微笑ましいものです。
(…………ところで、)
今のお客様の顔は、どこかでみたことあるような気がするのですがしかし、私はあんな小さな年代の方々からは敬遠されがちで、ろくな交流は出来ずじまいなのです。
きっとどこかですれ違いでもしたのでしょう。私は一人そう結論付けました。

笑い方を忘れた道化師/クダリ
もうさようならね、と君が言っただけで僕の動きはぴたりと止まってしまうのだ。
なんで、と僕は切れ切れに台詞を吐く。いつもの明るいトーンなんてどこかに忘れてしまった。
だってねクダリ、私がいるとあなたは駄目になってしまうわ。きっと二人とも幸せになんてなれないわ。
そんな月並みな台詞で僕を傷つけないでお願いだからあぁこのままじゃあきっと僕永遠に笑えなくなってしまうよ、それこそ駄目に、なってしまうよ。

ねえ?覚えてる?/アンドロイドノボリ
どうせ私は機械であるので忘れる、などそもそもできないことは彼女も承知しているはずですが、彼女は私にそう訊きました。
「何をですか?」
なので私もそう答えました。
「ノボリに私が告白したときの事よ」
「忘れるはずも御座いません」
「あの時のノボリったらとっても冷たかったわ!」
「申し訳御座いませんでした」
「ねぇノボリ」
「なんでしょう」
「私の事、忘れないでね」
「勿論で御座います」
いたって普通の会話らしい会話でした。

感謝 ただ好きなだけ



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