02


 二人が振り返ったそこにいたのは、長い銀髪を無造作に一つにまとめており、体にはくすんだ黄色の布のようなものを纏い、足元は裸足で、外国人のような整った顔立ちをした長身の青年だった。その姿形からして、この国の人ではないようだ。

(うわー……かっこいい人……!)

 翠奈は少しの間目を丸くし、口を半開きにして見とれてしまっていた。勿論、先程の質問のことなど忘れて。そんな翠奈を横目に見ながら、隼人は溜め息混じりにその青年の質問に答えた。

「この集落にチョコレート売ってる店はないっす「何処に売ってるんだい?」

「……いや、だから知らな「あるよね?」

「…………」

 まるで有無を言わさない口振りから、流石の隼人も「この人、難しい人だ」と直感的に感じ取った。翠奈も今の下りは聞いていたようで「あ、ダメだ。これ」と瞬時に判断した。青年は悪ぶった様子もなく、ただキョトンとして2人を交互に見る。翠奈と隼人は顔を見合わせて、考え付いたことは同じだった。
 こんな時に頼るのはあの人しかいない。

「あ、たぶん何処かにはあると思いますよー。ちょっとこの村に詳しい人に聞いてくるんで、あっちの方向にある大きい噴水のベンチにでも座ってて下さい。すぐ戻ってきますから」
「分かったよ」

 翠奈はとびっきりの営業スマイルで青年に応対すると、その青年も了解してくれたらしく、翠奈が指差した噴水のあるアイル広場の方向へ歩き出した。それを確認すると翠奈は隼人の服の肩をガッと掴み、広場を通らずに裏道からある人の家へ向かった。

[*前] | [次#]

[]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -