コラボ小説 01


 本年度も残すところ一ヶ月半、と押し迫ったある日のこと。翠奈と隼人は夏の集落にある、海沿いのメインストリートを歩いていた。向かって左手には、ちょうど夜店のテントのような造りの店が立ち並んでおり、右手には砂浜、透き通る海が広がっていた。人はまばらながらも、店の方は自分の店が少しでも目立つようにと赤や黄色、ショッキングピンクなどの派手な店舗が建ち並んでいた。いくらすぐ側に透き通る海があろうとも、その暖色系の色合いが、さらに体感気温を上げているような気がするのは翠奈だけであろうか。

「暑い……」
「そりゃあ夏の集落だからな、毎日真夏だよな」
「隼人は平気なワケ?この暑さが?え?」
「怒んなよー。まあ、おれは野球の練習で慣れてるからね」

 「あっそ」と盛大なため息をつきながら、翠奈は胸元の服をパタパタさせて風を起こしていた。真上から照らし付ける太陽光線と、それを反射する地面からの熱に耐えながら。
 ちなみに二人が何故わざわざこんな暑い所に来ているかというと、家の食料の買い出しである。
たまにライが来て作ってくれることもあるが、基本的には四人で自炊しているため、ライが毎月月初めにくれるわずかな生活費で何日かに一回、こうやって食品の店が多い夏の集落に買い出しに行くのだ。で、その当番が今回たまたま翠奈と隼人だった、という訳である。

「えっと、あと何がいるんだっけ?」
「えー……まだあんの?」
「ほら、買うもののメモ持ってんの翠奈だろ。ちょっと貸して」

 そう言って隼人が催促するように翠奈の前に手のひらを出した。翠奈は渋々ショートパンツのポケットからメモを取り出し、隼人のゴツゴツとした手のひらに置いた。
 その時、二人は大きな影に覆われた。そして背後から、隼人より幾分大人な声がした。

「洋酒がたっぷり入ったチョコレートは何処に売ってるんだい?」

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