03


所変わって三月兎達。
あちこち動き回った事で紅一点は溜飲が下がったようだ。


「何か食べたくない?あたし何か買ってくる!あ、やっぱあんたらも来い!」

「オレいらな」

「ルツ君、置いてくよ。」

「聞けよ…。」


自由気ままな二人に振り回されるルツに同情する物は誰も居なかった。


三人は偶然近くに店を出していたホットドッグ屋に行き三人分購入した。
驚く事に代金を支払ったのは三月兎である。


「うるさいの。」

「んー?」

「どういう風の吹き回し?」

「何が?」

「これ。」


そう言ってルツは自分が食べている物を示した。
要らないと言っていたが断るタイミングを見出だせず結局奢られている。


「うさぎちゃんには秘密兵器があるからねぇ。」

「ありゃ、バレてた?」

「ふふふ……僕だから。」

「秘密兵器って何。」

「あっはは……ポケットを叩くと…。」


意味深な笑みを溢して彼女が取り出したのは違う財布が3つだった。
それぞれ黄色、紫、赤の三色。形を見ても統一性が無い。


「スズメさんはロビンを殺したと思い込んでいました。ハエさんはロビンの死を見たと思い込んでいました。お魚さんはロビンの血を受けたと思い込んでいました。しかし、実際は逆だったのです。」


三月兎は自身のおちゃらけた発言に合わせて財布を一つずつ見せていった。
その手付きはマジシャンか何かのようである。


「黄、紫、赤。ロビンは先回りしていたのです。めでたしめでたし!」

「その話し方だと最終的にロビンの犠牲者は13人になりそうだね。」

「ってスリ?」

「あたしにかかりゃこんなもんよ〜♪」

「威張るな!」


気付かない間に三人分の財布を入手していたとは。
ルツは急に食欲が失せた。さっきまで美味しく感じていた物が食べてはいけない物に見えてきたのだ。


「他にしたい事あるかい?」

「んーん、そろそろ白兎達んとこ行く?」

「いや、返してこいよ!……って聞いてない!」


気付けばルツの回りに見知った顔は存在しなかった。

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