06


「そんな不安そうな顔しなくても大丈夫だよ。ちゃんとした自家製チョコレートだからね」

 ライはとびきりの笑顔でそう言った。もちろん今会ったばかりのヒザシとルツはこの笑顔が腹黒スマイルだということを知る由もない。何も知らないヒザシは安心して、顔をパアッと輝かせる。

「そうなの!良かったわね、ルツ」
「え、あ、うん……(本当かな……)」

 ルツだけは日頃からヨシュアの被害を受けているからなのか、何だか負に落ちない表情だ。
 ヨシュアが好意で帰れというのだから帰らない訳にもいかなく、ヒザシとルツは村の他の場所を回ることにし、また翠奈たち三人が隠れているところを通りかかった。ヒザシはルンルンなため、三人に目もくれなかったが、後ろについていたルツは三人に気付いた。

「あ……」
「君、ルツくんだよね?」
「そうだけど、」
「あたしはこの村の翠奈っていうんだけどね、あの黄緑の頭の人、ドSだからね、14日、気を付けた方がいいよ!」
「なんとなく分かってたよ、でも忠告ありがとう」

 ルツは「はは……」と乾いた笑いを漏らした。苦労人の笑いだった。どこにも苦労人というのはいるのだな、と少し勇気をもらった翠奈であった。

 ヨシュアとライの二人は陽が傾くまでベンチで談笑していた。

end.

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