《ミハベ》

2人の距離


(そういえば、俺、三橋と2人でミーティング以外で飯とか食ったことねぇな)

2人きりのチャリ置場でふとそんな事に気づく。
部活後の軽いミーティングだったはずが
すっかり遅くなってしまって、辺りはもう真っ暗だ。

(ちょうど腹も減ってきてるし、軽く食ってくのも悪くないか)

ちらっと三橋に視線を向けた。
他がいると「俺も!」ってなるから
誘うなら今がチャンスだと思い
三橋に声をかける。

「三橋」

ビクッとする三橋。
大声出してるわけでも
凄い形相してるわけでもないのに
こんな反応をよこす。
それが俺は嫌だった。
未だに打ち解けてないように思えるからだ。

(尚更2人で話さねぇとな)

俺は一呼吸すると
出来るだけ優しい心持ちで話かけてみる。

「このあと時間ある?
ちょっとコンビニ寄らね?
軽く何か食って帰ろうぜ」

と言うと
三橋は驚いたように大きく目を開け、何度もおもいっきり首を縦に振った。

「行く!俺、行く、よ!」

嬉しそうな顔で声を張った。
とりあえず、避けられるような事がなくて
俺はほっと胸を撫で下ろす。

「じゃあ行くか」
「うん!」

俺と三橋はチャリを漕ぎ出した。
ちらりと振り返って三橋の顔を見る。

(それにしても締まりのない顔だな。
結構、乗り気なのか?なら、いいけど)

まだイマイチ、こいつの考えが掴めないし、
こいつのきょどりとか直ったわけじゃないけど
三橋が"俺"と寄り道するのを
"嬉しい"とか思ったんなら

(俺達、少しは進展したんだろうな)

心の距離が近づくのは、信頼されるくらいかなり嬉しい。
俺は後ろをついて来る人物から暗い夜道に目を向けて
顔を少しだけ緩ませた後、力強い目で先を見つめた。

(今日は、三橋ともっと距離を縮める!)


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