《小説》

魔法にかかる


俺が体を起こし、快斗と見ると

「なぁ新一、花を持って相手に好意を見せるのも
単純なようで、なかなかイケてただろ?」

とウィンクをする。
そう言われて、複雑怪奇なものだけじゃなく
単純なものも意外と弱いと初めて知った。

「…まぁな」

俺が返事をすると、満面の笑みを浮かべ、喜ぶ快斗。
そのまま笑顔で、コーヒーを口にした。
俺も快斗の向かいに座り、コーヒーカップを口に持って行く。

コイツやコイツのマジックは、人を魅了する。
俺も惹かれるだろうと、予想はしていたが
実際に引っかかると、ちょっと?かなり?腹が立つ。

タネを見破るのが性分みたいな探偵が
逆に引っかかるなんて、こんなに苛立つ事はない。

(…。あ、そういえば)

ふと、ある事を思い出した。

「この前、博士ん家でテレビ見てて
ときめきってやつは、長くても4年しかもたねぇんだとよ。
だから、4年で別れる事も多いらしいぞ?
宮野も言ってた。
だとすると、俺がおめぇを好きになったのが最近だとして
あと4年か…」

俺はぽつりと呟いて、静かにコーヒーを飲んだ。

「え!?なに?!何言ってんの、新一クン!?
ねぇ!!今のどういう意味!?」

快斗はガタッとテーブルを揺らし、俺に近づいて問いかけてくる。
俺は固まって、瞬きを繰り返した。
ちょっとした仕返しの気持ちで冗談を言ったのに
思わぬ必死な返しにビックリを通り越して、つい、笑ってしまった。

「新一!?何で笑ってんだよ!?」

探偵相手に引っ掛けたんだから
もうちょっといじめてもいいかと思って

「いや、わりぃ。ま、4年間"は"、よろしくな」

と言った。
すると快斗は、逆ギレして

「俺は4年経とうが別れねぇからな!
荷物持って、新一の家に住みついてやる!」

そう言い放った快斗は、立ったまま、残りのコーヒーを一気に飲み干す。
俺はそんな快斗を見て、ははっと笑い返した。

先の事は分からねぇけどよ
おめぇが離れていかない限り、長い付き合いになると思うから。
ま、よろしくな。


《あとがき》
新一視点でお送りしました。
終わり方に苦戦した一品。

負けて終わるわけがないのが、新一さんだと思います。
怪盗・探偵としては、お互いに1歩も引かない名勝負をするけど
それ以外では、快斗は新一に敵わない気がするとか思ってみたり^^




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