《ノーマル》

your name―君の名を呼ぶ―


《シュウ視点》


"ちゃんと呼んでから行けよな、行くならよ"

呼ばないと思ったんだ。
名前呼ばなければアイツは消えないと思った。
だから、ああ言ったのに…本当に呼んだ。
オレの名前。

"じゃあな、シュウ"

何それ。
なんで言うんだよ?
本当に最後だから?

ぽろぽろと目からこぼれる涙、オレを呼んだあの声が心の中で繰り返されて止まらない。

「うっ…シ…シロ…ン」

色んな思いが溢れ出す。

行くな!って何で言えなかったんだろう?とか
サンキュー・ご苦労さん・じゃあなって言えなかったとか
名前を呼び返せなかったとか
もっと…もっと名前呼んどけば良かったとか。

そんな思いがまた涙に繋がって。

「ううっ…」

シロン、シロン、シロン。
なあ、シロン。
お前消えちゃって返す事出来なかったけど
最後に「シロン」てお前の名前呼んだんだ。
叫んだんだよ。

なあ聞こえた?
届いたか?

そう心の中でも呟いた時、ふぅ…とやさしい風が吹いてオレの涙をそっと拭った。




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