《カップリング》

inconsistent―打消しと肯定の間―


バサッ。
羽の音が聞こえて動きを止める。
口づけまで数センチという所。
目の前にはサーガではなく黒い羽があり
影で覆われた俺とサーガの上からは、ひらりとその羽が落ちてきた。
見上げれば、怪訝な顔のランシーンが立っている。

「何をしている?」

そう言われて俺はハッとした。

(何やってんだ俺は?!///)

まさに今、俺の頭の中はパニック状態だ。

「ふがぁ〜」

聞こえてきた寝言の方に目を向けると
ランシーンの羽からサーガがアホ面で寝ているのがちらっと見える。

「お前が寝っから悪いんだ!」
「いててててっ!?でかっちょ?!何?!!痛い!!痛いって!!」

俺はついイラッとして、これぞとないくらいにサーガの頬をつねった。
そして、その場から逃げ出したんだ。

「私の問い掛けは無視か、シロン…」
「なんだよアイツ。あ、わるっちょ。帰ってたのか?」

頬を摩りながらランシーンを見つめる風のサーガ。

「ただいま帰りました」

ランシーンはそう言って
頬を摩るサーガの手をどけ、そこにそっとキスを落とす。

「お、いきなり!?あ、おかえりのチューだな!!」
「ええ、これからのが…ね」

と言って今度は唇を重ねる。
だけど、俺がそんなアイツらのやり取りを知る事はなかった。



《あとがき》
シロンがシュウへの気持ちに気づく前の話です。
シロンに"片想い"というより、モヤモヤさせたくて。
シロンは本能でシュウを追ってたらいいよ☆と思います^^




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