《カップリング》

inconsistent―打消しと肯定の間―


「あ〜疲れた〜。休憩〜。ふくぶちょー、スパルタ過ぎ〜」

フラフラと数歩、歩いて座り込むと
仰向けになって寝転んだ。
それからすぐ、風のサーガは眠りについちまった。

「寝るのかよ!?だったら、せめてカムバッ…」

俺は文句を言おうとして途中でやめる。

アイツが寝ている場所からは
少し離れた所に俺は立っていた。
どうにも近寄りにくくて
遠くから風のサーガを見つめている。
あの場所はちょうど
アイツとランシーンがキスをしていた所だったから
簡単に踏み込めないでいるんだ。

「…てか、よく考えたら、別に俺が避ける事ねぇんだよな」

ドス、ドス。
俺は1歩1歩近づいてサーガを見下ろす。
それから屈んで頬っぺたをぐいぐいと軽めに引っ張るが
サーガはまったく目を覚まさない。

(コイツらの事を知った時、腹が立ったのは事実なんだけどな…)

風のサーガを独り占めしたい感覚だった。
だからと言って
それが"好きだ"という事に直結するかは
正直俺には分からねぇ。

俺はコイツと共有した時間を思い返す。
まあ、色々あった。

初めて会った時
コイツは俺とタリスポッドを投げ飛ばした。
俺をネコ野郎の前にぶら下げた事もあったし
俺がいなくなった事に気づくまで2、3週ズレてた事もある。
それから…。

(…思い返したら、なんかだんだん腹が立ってきたぜ。
やっぱコイツを好きだってぇのは間違いだな)

俺はイライラをサーガの頬にぶつける。

「うぅ〜うぅ〜」

グイグイ強く引っ張っているが唸るだけで全然起きる気配がしない。

(コイツ、神経あるのか?起きねぇな)

グイグイ。

「…」

グイ…。

俺は引っ張る手を止めてサーガを見つめた。
まだ、ちらつくあのシーン。

俺は、そっと口をコイツへと近づけた。

好きな気持ちを打ち消す一方で
想いを肯定するような行動をとる。
今の俺は矛盾の塊だ。



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