《ノーマル》
安心・阿部視点
俺の背にもたれ掛かって、ぐうすか寝てる元希さんを見て
俺は溜息をついた。
シニアの時
「お前は俺の壁なんだから、背もたれになれ!」
と言われた。
それで一時期ケンカもしたけど
結局、俺が折れてから当たり前になったこの体勢。
それが、学校が違った今でも当たり前で
「そんな寝方したら、肩に負担がかかる」
と忠告しても聞く耳持たずのオレ様ぶり。
「壁は固いから、お前の背中ぐらいがちょうどいい」
の一点張りで、俺の背中で寝る。
ムカツク。
ほっとけばいい。
けど、なんだかんだ従ってしまう自分に嫌悪だ。
(何やってんだ俺…)
俺はテーブルに両拳を乗せ、俯いた。
前にこの事を秋丸さんに話した事があったけど
「榛名は、タカヤに甘えたいんだよ」
と笑顔で返された。
(甘えたいって、ガキかよ)
でも、悪い気はしない。むしろ
(嬉しいかも…)
今でも必要とされてる気がして、なんだか安心する。
(…背中、あったか)
俺は、テーブルにうつ伏せた。
(やべ。眠くなってきた)
終
*次は、榛名視点。
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