《ノーマル》

投球練習


「タカヤ。何ぼけっと飯食ってんだよ?
人の話聞けよ」

目の前で飯を食う元希さんが、ぶーたれた顔でこっちを睨む。

「あ。すみません。ちょっと考え事してて」
「考え事?お前でも考える事あんだ?」

(俺はいつだって考えてるっつぅの!)

「アンタと脳の使い方違うんで、考え事くらいしますよ」
「なんだとタカヤ!?後輩のくせにナッマイキだな!!」

飯くらい普通に食いたいので、元希さんをスルーし
俺は目の前の飯を口に運んだ。
それを見て元希さんも、再び箸を動かす。

「で、何考えてたんだよ?」

静かに聞いてきた。

「いや、別にたいしたことじゃ…」
「気になるから言え!俺は先輩だぞ!?」

やけに先輩と後輩を強調してくる。
なんでだろう?と解答を探していると、1つ思い当たった。

「…元希さん、後輩に頼られたいんですか?」
「違ぇよ!お前に!…頼られたいんだ」

声がちっさくなっていった。

「柄にもない…あっ」
「どういう意味だ?タカヤ」

自分で予想して言った事が、思いがけず当たると
心の声をつい漏らしてしまうんだと気づいた。
だけど、時間は戻らない。
目の前の人物は食い終わって、俺をじっと睨んでいる。

「何考えたか言えば許してやる」

と言われたので、一呼吸置いて素直に切り出した。

「なんで、ずっと俺を練習相手にしてたんすか?」
「それか?考え事って」
「そうっすけど」
「あ〜そりゃあ、お前しか俺の球取れなかったからだろ?」
「元希さんが入ったばかりの頃の話ですよ」
「?お前が生意気でムカついたから?」
「出会った日じゃなくてその後の…」
「何が言いてぇんだよ?」

1番聞きたい事がちゃん伝わらなくて、じれったい。

(脳みそバン!と繋げたら伝わる機械とかねぇかな!?
つーか、なんで最後は疑問形なんだ?!
てめぇの気持ちだろ!?てめぇで分かんねぇのか?!
いやでも、ここは辛抱強く!気になる事はさっさと処理!)

辛抱強くなった事を、毎度、三橋に感謝しつつ
気持ちを切り替えて、聞きたい事を俺は頭の中で纏めた。


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