《榛阿》

写真


元希さんから写メが送られてきた。
"待受プレゼント"という件名。
内容は
"俺のファンという奴に写真撮ってきてくれって
頼まれた後輩がいて、写真を撮った。
タカヤ用にも撮ってやったから、やる"
というもので

(別にいらねぇよ)

とか思って速攻、消去した。
もし、誰かに見られて携帯回しが始まったら
皆で元希さんと俺の話をするんだろう。
仲良しバッテリーだのなんだのと噂して楽しむんだ!
と安易にヨめて、消さずにはいられなかった。

(んで、三橋はその写真、じっと見てそうだな。
もしくは興奮してキョドってるかもな。
アイツも榛名ファンだし)

その日は、呑気に眠りに就いた。
だが、次の日。

「元希…さん…?」

明るい青空の下、西浦の校門前、絶妙なタイミングで元希さんに出会う。
顔が引き攣る俺。家から出るのが遅くなってしまった事を後悔する。

(いや。この人がここに来る時点で、時間とか関係ねぇな…)

「よぉ。気になって確認しにきたんだけどさ」

ロードワークをしながら来たらしいユニフォーム姿の元希さんの目は、かなり怒っていた。
俺の顔を見てすぐ分かったんだ。
バレた。元希さんの写真消したこと。

「ん」

元希さんは手を差し出す。携帯出せの合図。

(分かってるくせに!!)

さっきチャリに乗りながら、時間確認に携帯を出しちまって
今更隠した所で「家に忘れてきた」なんて通じるはずもなく。
仕方無しに携帯を渡すと同時に言った。

「ビックリして思わず消しちゃいましたよ」
「思わずじゃねぇだろ?」
「…」

相変わらず、俺の心を見通す。
この人には敵わないと思う一方で

(分かって欲しい気持ちには、全然気づかねぇくせに)

と思う。
けど、それは決して口には出さず。


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