《榛阿》

サイレン


3日前、元希さんと初めてヤッた。

「キタネェカラダ」と毎度の事を言われて
それに言葉を返す、通常の作業をしてただけだけど
気づけば天井が見えて、あとはよく覚えてない。
ただ、ヤッたと言うのは理解出来た。

あれから、普通に過ごす元希さんに不信感を抱きながらも
自分の気持ちにも、動揺が隠し切れないでいたんだ。

(なんで俺、ヤッっちまったんだろ?
元希さんはどうして俺と…)

俺は女じゃないとか、体格差があったとか
複雑な感情を抱く一方で、警報が煩く響く。

「タカヤ」

意識を現実に戻すと
目の前にはロッカー、後ろには元希さんがいた。
俺と元希さん以外、誰もいないことに気づいて、体が強張る。

「タカヤ、"あれから"投球練習以外で俺のこと見ねぇけど
もしかして、"俺"を意識してんのか?
それとも"ヤッた"事か?」
「…」
「おい、だんまりかよ?なら、両方ってことにしとくぜ?」

それなら、まぁまぁ満足だ。と
うな垂れる俺のうなじに、キスを落とした。

警報が鳴る。

"好きになってはいけない"

そういう警告音。

(好きになんねぇ。なるはずがねぇ!)

だけど、「タカヤ」と愛おしそうに呼ぶ声に
真っ直ぐ向けられる瞳に
俺を抱きしめ、俺に振りかぶって投げる為の腕に
心が激しく揺さぶられた。

fin.

<あとがき>
戸田北時代。たまには、少しシリアスに。
書いてて楽しかった^^


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