短編 | ナノ
"完璧"

その言葉がぴったりな人だと思った。生徒に対する接し方、授業の進め方、その他の課外活動での指導、性格、ルックス…。本当に完璧な人だと思った。だから憧れたし、嫌いになった。
先生を見てると、自分に足りないものが嫌っていうほど分かって、自分がどんどん嫌いになる気がした。だから、先生を見るのが嫌になった。先生と話すのが嫌になった。…今思えば、それは照れだったのかもしれないけど…。
でもさ、先生はそんな俺に言ったんだ。

'全部が全部 完璧にできてなきゃ いけないなんてこと ないんだから'

それを聞いて、少し楽になった気がした。…あぁ、そっか。俺は完璧を求めすぎてたんだ。完璧な人間なんていないって、よく聞くじゃねぇか。
…あれ?それなら先生は?完璧じゃない?そう思って見てたら見付けた。先生の完璧じゃないとこ。ポケットに手をつっこんで歩くとことか、悪気はないけど子ザルの髪型のこと言っちゃう天然さとか、色々。
俺は、そんな完璧じゃない先生を好きになった。一緒に居るようになってからは、更に先生の完璧じゃない部分を見付けた。なんか抜けてて、実は少し頼りないとこもあって、優しくて、生徒一人一人を大事にする東先生。

俺は、そんな先生が大好きだ…







俺の大好きな人


(…先生、大好きです)(ありがとう。俺もだよ)

- END - 





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