短編 | ナノ
悠太ってさ、誰にでも優しいよね。

俺は、その優しさが好きだし嫌い。
だって、変な虫がつくじゃないですか。学校の女とか女とか女とか…。でも、うちの悠太くんは気付かないんです。その優しさが女子に惚れられちゃう理由の一つだってこと。女子が重いものを持ってれば一緒に運んであげるし、困ってる人がいれば直ぐ助けてあげる。
本当に悠太は人のことばっかり。



あとね、悠太がたまぁにみせる優しい微笑みも好きだし嫌い。
悠太は無表情っていっても、俺より表情豊かだから、学校でも微笑っちゃたりするんだよね。
でもさ、俺だけが見てたいじゃん?あんな優しい笑顔。あれは天使の笑顔ですよ。
…あぁ、ダメダメ。女子の前でその笑顔はダメ!そんな笑顔向けたらまた女子をノックアウトしちゃうってば。


それからね、悠太がしっかりしてるとこも好きだし嫌い。
皆に頼られるお兄ちゃんなんて嫌なんですだって、悠太は俺のお兄ちゃんじゃん。しっかりしてるから、皆に頼られてるの分かってないよね。…あ、また春の面倒みてるし。春だからいいけど、……やっぱやだ。

でもさ、想像してみたんだ。優しくなくて微笑わなくてしっかりしてない悠太を。そしたら、それは悠太じゃなかった。
優しくてしっかりしてるから俺の世話を何でもしてくれるし、俺は悠太のあの笑顔が何より好き。だから、優しいとこもあの笑顔もしっかりしてるとこも、やっぱり全部'好きだし嫌い'じゃなくて'大好き'なんだ。






俺の大好きな人


(ゆーた。俺ね、やっぱり悠太の全部が好き)(そう?ありがと)

- END - 





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