お題 | ナノ

 いつもと変わらぬ放課後の何気ないお喋りの中で、何故か始まった恋バナ。そんな中、俺は特に発言するでもなく、何となく話を聞いていた。

「…でさ、要っちは、かおり先生が好きなんだよね?」
「いつの話してんだよ!ちげーって言ってんだろ!」
「でも、今好きな人も年上なんでしょ?」
「〜〜っ、もう俺の話はいいだろ!っつか、そういう子ザルはどうなんだよ」
「え、えぇ!?俺!?…お、俺の好きな人は春ちゃんだーい!」
「うわっ」

千鶴が春に勢いよく抱き着いて、その勢いで2人がひっくり返りそうになる。でも、それも悠太が咄嗟に支えてあげたことでなんとかセーフ。
あー、やっぱり悠太はよく周り見てるな。…周りじゃなくて俺だけを見てほしいな、とか思った俺は自分勝手なのかな?なんてぼーっと考え事をしていたけど、それも千鶴が伸し掛かってきたことで中断させられた。

「…あの、重いんですけど」
「ゆっきーどったの?珍しく黙り込んじゃって」
「…別に」
「あ、ゆっきーも好きな人いるのか!だから、自分に話が振られないように黙ってんのか!」
「え、祐希くんにも好きな方がいるんですか?」
「誰だよ?」

皆して勝手に決め付けて話を進める。そりゃいるけどね、好きな人くらい。でも、叶わぬ恋ってやつだからなぁ…。

「で、誰?誰?言っちゃいなよ〜!」
「……悠太」
「「「「…は?」」」」
「だから、俺の好きな人は悠太。祐希くんは悠太くんを愛してます」

俺の言葉に全員言葉を失うも、それは一瞬のこと。皆、兄弟愛って形で受け取ったみたいで直ぐに、どんだけブラコンなの!みたいなことを言いつつ笑い始める。

ただ一人、悠太だけは困惑の目で俺を見てたけど…







今ならノリで許されるんじゃ…

(悠太だけには俺の本心だって)(気付かれたのかもね)

- END - 





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