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※病







「こーちゃん、これからも一緒にいてくれるよね?」
「当たり前だろ」
「じゃあ、約束して。僕とずっと一緒にいてくれるって」
「あぁ、約束な」

高2の体育祭のとき、皆に囲まれてるこーちゃんを見て、いつか僕から離れていっちゃうんじゃないかな、と不安になって、約束してもらったんだ。これからもずっと一緒にいるって。


でも、その約束は12年経った今、破られた。

こーちゃんに好きな人、もしくは恋人ができたんじゃないかと思ったきっかけは、こーちゃんとの何気ない会話だった。こーちゃんは、よく要くんという生徒の話をするようになったんだ。自分では気付いてないんだろうけど、僕が一緒にいるときに学校の話になると、必ずってくらいその子が話に出てくる。しかも、とっても嬉しそうに話すんだ。
その少し照れたような笑顔を見て、僕は分かってしまった。こーちゃんは、その要くんって生徒のことを好きなんだって。
僕のその考えがやっぱり事実だと分かったのは、ある休日のことだった。近くの商店街を歩いていたとき偶然、手を繋ぎながら笑顔で要くんとお喋りをするこーちゃんを見てしまったんだ。やっぱり、こーちゃんには恋人がいたんだね…。僕はずっとこーちゃんが好きで好きで仕方がなかった。一緒に居られるなら、恋人になれなくてもいいと思ってた。
それなのに、出逢ってたった2年の生徒にこーちゃんをとられちゃったんだ。こーちゃんの隣は僕の場所だったのに、今は要くんの場所になってる。こーちゃんの特別な笑顔は僕に向けられてるものだったのに、今は要くんに向けられてる。こーちゃんの一番は僕だったはずなのに、今は要くんが一番になってる…。
何で、約束破ったの?僕とずっと一緒にいてくれるんじゃなかったの?こーちゃんはいつまでも僕だけのものでしょ?こーちゃんも知ってるよね?約束は、守るためにあるんだよ。
…だから、破ったらそれなりの罰を受けなきゃだよね。僕は台所にあった小型のナイフを布にくるんでポケットに入れてから、直ぐに家を出た。そして、少し歩いたところにある彼の家を見上げ、携帯を手に取る。

「…あ、もしもしこーちゃん?あのさ、今こーちゃんちの近くまで来てるんだ。会える?」

僕の中で、何かが壊れた…。




(君ヲ誰ニモ)(渡サナイ)

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