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「こーおーちゃんっ」

席から立ち上がりかけたこーちゃんに、満面の笑みで飛び付いた。
けっこう思い切り飛び付いたから、こーちゃんったらバランス崩して、机倒しそうになってんの。まったく、僕の体重も支えられないなんて、こーちゃん鍛えた方がいいんじゃないの?

「あきら、いきなり飛び付いたら危ないって何回も言ってるよな?」
「え?そんなの言われたことないし。こーちゃんボケてきた?」
「その言葉、そっくりそのままお前に返すよ」

こーちゃんは呆れ顔でそう言うけど、事前に飛び付くよ、なんて言って飛び付く人はいないと思うな。いちいち何をするにも許可を求めなきゃいけないなんてことはないじゃない?でもまぁ、君がどうしてもって言うなら予告してあげないこともないけど?

「じゃあこーちゃん、次はちゅーするね」
「は…、はぁ!?」

僕が顔を近付けたら、こーちゃんは「待て待て待て!!」と叫びながら僕の肩を押して拒否をする。
予告しろって言うからしたのに…。もう、こーちゃん自分勝手すぎ!

「こーちゃんがいきなりはダメって言ったんでしょ!僕はちゃんと予告したじゃん!」
「いや、キスの予告しろとは言ってない!」
「え、ちゅーはいきなりがいいの?こーちゃん我が儘〜」
「キス自体がダメって気付いてよ」

ため息なんかついちゃって、肩を落とすこーちゃん。
あ〜あ、幸せ逃げちゃうよ?っていうか、恋人なのにちゅーしちゃいけないとか酷くない?僕はこんなにもこーちゃんが好きなのにさ!
むくれる僕に、こーちゃんは子ども宥めるような言葉をかけてくる。僕は子どもじゃないのにっ。
さらにむくれた僕に、こーちゃんは成す術がないようで困ってる。僕がしてほしいことをして、言ってほしい言葉を言ってくれれば事は丸く収まるのにね。こーちゃんも、まだまだ僕を理解してないようだ。

「こーちゃん」

あれこれと考え込んでいるこーちゃんの腕を引っ張り、自分の方に引き寄せる。そして、耳元で 大好きだよ と囁いた後に頬にちゅーを一つ。

「仕方ないから、これで勘弁してあげる」

そう言ってにこりと笑えば、君は真っ赤な顔で抗議しようと開いたであろう口を閉じる。ほらね、僕は君のことよく分かってるでしょう?
こーちゃんも、早く同じとこまで来てよね。僕はいつまでだって待ってるんだから!
賑やかな教室でのこの出来事は、僕ら2人だけの秘密っ

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